こんにゃくの白と黒、その理由と味の違いは?

食材
おでんなどで親しまれているこんにゃく。
このこんにゃくには白こんにゃくと黒こんにゃくの2種類が存在していますが、あまり普段はこの2つの違いを意識していません。
これらの色の違いはどこから来るのでしょうか?

こんにゃくの色の違い

実は、白こんにゃくも黒こんにゃくも基本的には同じこんにゃく芋から作られています。
しかし、色の違いは製造工程に由来します。
白こんにゃくはこんにゃく芋の粉を使用して製造され、特に色を付けるものを加えずに作られるため、その名の通り白色をしています。
一方、黒こんにゃくの色は、加工の際に芋と一緒に海藻の一種であるヒジキを混ぜることで自然に黒くなります。
これにより、黒こんにゃくは独特の風味と弾力を持つようになります。
味の違いについては、基本的にはどちらも同じこんにゃく芋を使用しているため大きな差はありませんが、黒こんにゃくにはわずかに海藻の風味が感じられることがあります。
こんにゃくのこのような色の違いと製法の違いは、ただの雑学としてだけでなく、食材を選ぶ際の参考にもなるかもしれません。

白こんにゃくと黒こんにゃく、その製法の違いとは?

日本の食卓に馴染み深いこんにゃくには、白いこんにゃくと黒いこんにゃくの二種類が存在することは知っての通り。
同じこんにゃく芋から作られているにもかかわらず、色が異なるのはその製法にあります。
江戸時代以前のこんにゃくは、主に黒こんにゃくが一般的でした。
これは生のこんにゃく芋をすりおろして作る方法で、こんにゃく芋の皮などが混入し、黒い点々が特徴的な外見を形成していました。
さらに、当時は凝固剤として使用される木灰汁が全体に黒い色を与えていました。
つまり、こんにゃくは本来黒かったのです。
しかし、生こんにゃく芋の保存性の問題から、年間を通じてこんにゃくを提供するための方法として、こんにゃく芋を乾燥させ粉末にする技術が江戸時代に開発されました。
この粉末は「こんにゃく粉」と呼ばれ、不純物を除去する過程で自然と白くなり、ここから白いこんにゃくが生まれました。
つまり、栄養価や味に関しては、白いこんにゃくも黒いこんにゃくも同じこんにゃく芋を使用しているため、基本的には変わりません。

白いこんにゃくの受容と地域的な差異

こんにゃくの製法は時代と共に進化し、現代では乾燥こんにゃく芋から作る粉末方式が主流となっています。
この方法は江戸時代に発明された比較的新しい技術です。
白いこんにゃくはその頃に登場し、初めて目にする人々はその見た目に戸惑ったことでしょう。
「何だこの白さは!」と当時の江戸の人々は受け入れがたいと感じたようです。
江戸でさえ受け入れられなかった白いこんにゃくが、より伝統を重んじる関西地域で受け入れられるはずもなく、「これはこんにゃくではない!」と拒絶されたとされます。
その結果、今日に至るまで西日本では黒いこんにゃくが一般的であり、細い白いこんにゃく、すなわち「白滝」の生産は関東地方が中心です。
関西ではこれを「糸こんにゃく」と呼び、伝統的な黒色を好む傾向があります。
一方、こんにゃく芋の栽培が少ない北日本では、昔ながらの製法に対する親しみが薄いため、白いこんにゃくが普及しています。
ただの製法の違いが、地域によっての認識の違いを生み、こんなにも地域ごとの食の違いがあることは食文化の面白さの一つです。

現代の黒こんにゃくの製法とその背景

かつて白いこんにゃくが市場に受け入れられなかった時代がありました。
オールシーズン生産可能なこんにゃく粉から作られる白いこんにゃくは、消費者に不評で、販売に苦戦していました。
そんな中、消費者の好みに応えるために工夫されたのが、ひじきなどの海藻を混ぜて黒く着色されたこんにゃくです。
この黒こんにゃくは、見た目が伝統的な黒こんにゃくに近く、消費者に受け入れられやすくなりました。
もちろん、伝統的な方法で生のこんにゃく芋をすりおろして作る黒こんにゃくも存在しますが、現代ではこんにゃく粉を使用した大量生産が一般的です。
そのため、現代の黒こんにゃくは、ほんの少量のひじきなどの海藻が加えられているだけで、栄養価や味に大きな影響はないとされています。
この進化の過程で生まれた現代の黒こんにゃくは、時に「グレーこんにゃく」とも称されることがあります。
これは伝統的な黒こんにゃくとは少し異なる新しいタイプのこんにゃくであり、その成り立ちが色々な事情によるものだと理解されています。

色とりどりのこんにゃく、知っていますか?

こんにゃくは地味な食材と思われがちですが、実はカラフルなバリエーションが存在します。
赤や緑など、クリスマスのような鮮やかなカラーのこんにゃくもあるのです。
特に滋賀県で見られる赤こんにゃくは、もともと精進料理の一環として、魚の刺身を模して色付けされました。
この赤い色はかつてはトウキビの実の皮や食紅を用いていたそうですが、現在では安全な三二酸化鉄を添加物として使用しています。
緑色のこんにゃくは、アオサという海藻が加えられています。
アオサは青のりの原料としても知られる海藻で、緑こんにゃくは夏場のさっぱりした一品として人気です。
市販では「刺身こんにゃく」として売られていることもあります。
このように、こんにゃくはただの白や黒だけでなく、色々な味や色のバリエーションが楽しめる食材です。ビビッドな色合いのこんにゃくを見つけたら、ぜひトライしてみてください。

白いこんにゃくと黒いこんにゃく、どちらを選びますか?

私は、以前から、黒こんにゃくのほうが何となく栄養が豊富で美味しそうに感じていました。
しかし、白いこんにゃくと黒いこんにゃくの栄養価や味の差に違いはありません。
そう、見た目に左右されていたんです。
そう考えると、コンビニなどでおでんを選ぶとき、黒こんにゃくが品切れでもがっかりする必要はないのかもしれません。
この事実を知ったとき、皆さんはどちらのこんにゃくを選ぶでしょうか?
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