日常会話やSNSでよく目にする「行きずらい」という表現ですが、実はこれは 誤用 です。正しくは 「行きづらい」 と書きます。
しかし、「行きずらい」という間違いが広まってしまった背景には、日本語の音の変化や発音の影響が関係しています。
この記事では、「行きづらい」と「行きずらい」の違い や 正しい使い分け について詳しく解説します。
1. 「行きづらい」が正しい理由とは?
「行きづらい」は、「行く」+「づらい」という組み合わせで成り立っています。
① 「づらい」の意味
「づらい」は 「~するのが困難」「~しにくい」 という意味を持つ助動詞(補助動詞)です。
✅ 例:
- 書きづらい(書くのが難しい)
- 食べづらい(食べるのが大変)
- 歩きづらい(歩くのが難しい)
このルールに従うと、「行く」+「づらい」で「行きづらい」が正しい形になります。
2. なぜ「行きずらい」は間違いなのか?
一方、「行きずらい」は 誤用 です。
① 「ずらい」という言葉は存在しない
「ずらい」という助動詞(補助動詞)は、日本語には存在しません。
そのため、「行きずらい」という表現は 本来の文法ルールに合わない のです。
② 「ずらい」と「づらい」の混同が生じた理由
「ずらい」という誤用が生まれた背景には、以下のような要因が考えられます。
1. 「ずるい」との混同
「行きづらい」の「づらい」を、「ずるい」(狡猾・卑怯という意味) の「ず」と混同してしまった可能性があります。
2. 「辛い(つらい)」との混同
「行きづらい」と似た音の言葉に「つらい」があります。「つらい」と発音が近いため、「ずらい」と間違えて使ってしまうことが増えたのかもしれません。
3. 発音の影響
話し言葉では、「づ」と「ず」の発音がほぼ同じように聞こえるため、「行きづらい」を「行きずらい」と誤認してしまう ことが多いのです。
このように、発音の影響から「ずらい」の方が自然に感じられる人も多く、無意識のうちに誤った表記が広まっているのかもしれません。
4. SNSの影響
パソコンで「ずらい」と打ち込むと、多くの場合、自動的に「づらい」に変換されます。そのため、キーボード入力では誤って「ずらい」と書くことはあまりありません。
しかし、スマートフォンや携帯では、自動変換が必ずしも機能するとは限らず、「づらい」に修正されないことがあります。
その影響で、SNSやメッセージアプリなどでは「ずらい」と表記されるケースが増えているのです。
3. 「行きづらい」と「行きにくい」の違いは?
「行きづらい」と似た表現に、「行きにくい」があります。これらの違いを理解すると、より適切に使い分けられるようになります。
言葉 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
行きづらい | 精神的・心理的に行くのが難しい | 「あの店は雰囲気が怖くて行きづらい」 |
行きにくい | 物理的・環境的に行くのが難しい | 「駅から遠くて行きにくい場所にある」 |
✅ 「行きづらい」は心理的な抵抗を表す
- 「前に失礼なことをしてしまったので、彼の家には行きづらい」
- 「職場の人間関係が悪くて、会社に行きづらい」
✅ 「行きにくい」は物理的な困難を表す
- 「山奥にあるため、あのカフェは行きにくい」
- 「この道は狭くて、車では行きにくい」
💡 ポイント
- 精神的・心理的な障壁があるとき → 「行きづらい」 を使う
- 地理的・物理的な要因で困難なとき → 「行きにくい」 を使う
4. 「づらい」を使うその他の例
「づらい」は、「行きづらい」以外にもさまざまな動詞と組み合わせて使われます。
✅ 「づらい」を使う例
- 話しづらい(話しにくい)→「上司が怖くて話しづらい」
- 歩きづらい(歩きにくい)→「この靴はサイズが合わなくて歩きづらい」
- 書きづらい(書きにくい)→「このペンはインクが出にくくて書きづらい」
- 食べづらい(食べにくい)→「骨が多くて食べづらい」
💡 「づらい」は「にくい」と似ているが、使い方が異なる点に注意!
- 「~づらい」→ 心理的・感覚的に困難
- 「~にくい」→ 物理的・環境的に困難
まとめ
日常会話やSNSでよく目にする「行きずらい」という表現。何気なく使ってしまうかもしれませんが、実は誤用であり、正しくは「行きづらい」と書きます。
この間違いが広まった背景には、日本語の発音の曖昧さや、「ずるい」「つらい」といった似た言葉の影響がありました。しかし、正しい表現を知ることで、より適切な日本語を使うことができます。
また、「行きづらい」と「行きにくい」も似た意味を持つ言葉ですが、実は使い方に違いがあります。
「行きづらい」は心理的な抵抗を、「行きにくい」は物理的な困難を表すもの。この微妙なニュアンスを理解することで、より自然で伝わりやすい文章や会話ができるようになります。
言葉の使い方を正しく理解することは、コミュニケーションをスムーズにするだけでなく、自分の考えをより的確に伝える力にもつながります。今後、「行きづらい」「行きにくい」を使うときは、ぜひその違いを意識してみてくださいね。